商品の詳細
長年に亘りこつこつと収集し、愛蔵してきた紀州へら竿の一本ですが、今般、諸般の事情により断腸の想いで出品いたします。
【概説】
・紀州へら竿という水脈の源としての位置は師光と源竿師に譲るにせよ、竿作りにおいて哲学ともいうべきものを持ち、それに基づくさまざまなコンセプトの発案、実践を通じて、系統や門派を超えて数多の竿師に多大な影響を与えた竿師が、(先代)孤舟です。
・その孤舟が打ち出し、生涯を通じて守り通したものは、製作年の明記・調子分類・等級分け、など。
・調子分類について言えば、「鶺鴒(せきれい)」が中心に位置付けられ、これより幾分胴に乗る感じの「純正鶺鴒」と共にへら竿の基本調子をなし、これらの頭に、さらに竿の硬軟を示す硬式・中式・軟式が付されること、そして他に、鶺鴒の派生調たる吐月峰(とげっぽう)、より趣味性の強いものとして、小べら釣りを意識した軽妙な「小々波(さざなみ)」、その反対に大物にも耐え得る、骨太な「川蝉(かわせみ)」などがあることはご存じの通りです。
・片や等級については、高い順に非売、秘別選、飛ぬけ、ぬけ、準ぬけ、無刻(明記なし)に分けられています。
・本品にはその等級は刻されていませんが、これは「軟式純正鶺鴒」という、手元から大きく曲がる調子ゆえの、先ぬけ感の若干の弱さから敢えてそのようにされたのではないかと思われます。
・実際、補強のため玉口を二重巻きにした手の込んだ作りはじめ、手にして軽く、多少の風ならほとんどストレスを感じることのない操作性、アタリに合わせた際の秀逸な水切り感、そして魚が掛かると穂先が道糸とほぼ一線をなし、穂持以下の部位が引きに応じて自在に撓みながら、元から美しい曲がりを見せて魚を上げ寄せてくれる見事な調子などを鑑みるに、その印象は一層強くなります。
・櫓聲とも至峰とも影舟ともまた別の、趣深い釣風景を眼前に展開してくれる一本です。
【状態】
・竹竿において最も注視すべき口割れのないのはもちろん、穂先に反りもなく、込み・胴漆の状態も良好です。
・穂持ちに若干の反りが見られるものの、竹竿として気にするようなものではなく、火入れの必要もありません。
・これまでの使用回数自体が僅少なことに加え、当方几帳面な性格ゆえ竿は至極丁寧に扱い、釣りを終えた際には家から持参した竿拭き用のきれいな絞りタオルで汚れを落として収納し、帰宅後すぐに展開して一晩室内干しした上、居室にて保管していたので、握りにわずかに使用感が見られる以外、キズ・汚れなどほとんどなく、素材の劣化も来たしていないと思います。
※近年、紀州へら竿の使い方を弁えない人の手に渡って本来の美質の損なわれてしまった竿も散見されるようですが、本品はそのようなものではありません。
【付属品】口栓(片方に刻銘がありませんが純正品で、形状・玉口への適合性にも問題はありません)、竿袋(純正品)
【注意事項】
極美品と自負しておりますが、見落としている細かな瑕疵があるかもしれません。
また、工業製品ではなく、自然素材の竿という点はお含みおきください。
これらの点をご理解の上ご入札いただき、落札時にはノークレーム・ノーリターンでお願いします。
新規の方、および過去の評価の悪い方の入札はこちらの判断で削除させていただく場合があります。
【梱包について】竿本体を竿袋に収納した状態でエアキャップ(プチプチ)を巻き、ボイド管に入れて発送します。
商品の説明
孤舟(先代) 軟式純正鶺鴒 1966年作 13.2尺 節巻 綿糸握り
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